世代交代のタイミングにおいて側近幹部がすべき5つの仕事

世代交代により迷走する組織
今、多くの組織が世代交代のタイミングを迎えています。
創業者が引退し、2代目が引き継ぐという構図です。
世代交代のタイミングは、最も組織が崩れやすいタイミングであり、だからこそ、それ機に、新たな生命体へと生まれ変わることができる絶好のチャンスでもあります。
創業者は多くの場合、カリスマ的です。
ゼロから1を生み出すエネルギーは情熱でしかありません。
その情熱と溢れる人間味に引っ張られ、組織は大きく成長します。
しかし、年齢的な衰えには勝てず、徐々に権限を下ろさなければならない局面を迎えます。
そして、いよいよ2代目にそのバトンを渡すことを決意します。
しかし、これまでなんでも自分の思い通りにやってきた創業者は、自分の思いとは違う方向性に組織が進んでいくことに苛立ちと不安を覚えます。
自分が四六時中エネルギーを注いできた場所がなくなることは、自分の心の中にぽっかり穴が空いてしまったような、居場所がなくなってしまったような心境になります。
そして、そういった不安から無意識のうちに自分の居場所を取り戻そうと現場に口を出し、再び組織をコントロールしようとする方向性に走ると、いよいよ組織は迷走します。
このような局面においては、側近幹部の役割が極めて大きくなります。
側近幹部は、多くの場合、カリスマ的な創業者と共に時代を生きた人たちであり、ある種、創業者には頭が上がらないという関係性があります。
しかし、ここでまず必要なことは、創業者を立てながらも、最終的な意思決定者は明確に2代目に変わったという事実を重く受け止め、毅然とした態度で経営に関わるということです。
一番マズイのは、経営者が交代したにも関わらず、これまでの関係性から抜け出すことができず、新しい経営者よりも、自分がお世話になった創業者の声を優先してしまうことです。
心理的なプレッシャーはあると思います。しかし、それを自分に許してしまったら、経営は二重政治状態になり、現場は混乱をきします。
逆に、その棲み分けをきちんと行い、きちんと耳を傾けながらも、許容できないことには毅然とした態度でノーと言える自分であることが、新しい経営者を守り、ひいてはこれからの組織を守ることにも繋がります。
側近幹部がすべき5つの仕事
そして、世代交代のタイミングおいて側近幹部がしなければならない仕事が5つあります。
1つ目は、意思決定における公式のルールを見直すことです。
具体的には、引退した創業者が意思決定に関わることことのないよう、意思決定会議のメンバーからは外れてもらうことです。
家族的経営の色合いが強い場合、それでも事あるごとに引退した創業者が口を出し、そのプレッシャーの強さに側近が屈してしまいそうな場面もあります。
そのような事態をできる限り避けるためにも、意思決定のプロセスには入らない仕組みをつくることは最低限の仕事と言えます。
しかし、バトンを渡して一番不安なのは創業者自身です。だからこそ、安心感を持ってもらうためにも、事あるごとに先手先手で状況を報告し、相談を持ちかけていくことが、「任しても大丈夫だ」という安心に繋がっていきます。
そして、これは側近幹部以上に、2代目経営者の仕事でもあります。
いずれにしても、公式な意思決定プロセスからは外れてもらいながらも、決して蚊帳の外には置かないことが重要です。
2つ目は、創業者の居場所をつくることです。
つまり、未だ持って有り余るエネルギーの注ぎ場所を組織の仕組みとして用意することです。
具体的には、組織の人材育成への取り組みに関わってもらうことがベストです。
引退したといっても創業者自身の生き方、哲学そのものが組織のアイデンティティであることは間違いありません。
そして、それらDNAは組織が継承していくべき本質とも言える目に見えない経営価値です。
そのDNAをあらゆる形で伝承していくために、社史を作ったり、創業者がスタッフに直接語りかけることができる場を用意することが、居場所をつくることに繋がります。
3つ目は、新しい経営者を育てることです。
この時、側近幹部は言うなれば家老のような立ち位置になっているはずです。
つまり、新しい経営者よりも年齢も経験も上にある、ということです。
厳しい言い方をすれば、新しい経営者は未熟な状態でトップというポジションに就きます。
そして、多くの場合、内心は上手くやれるだろうか、自分で大丈夫だろうかという不安と緊張が渦巻いています。
そのようなトップの心の支えとなり、また必要なことは提言していく教育者としての役割が側近幹部には求められます。
4つ目は、幹部である自分たちが一枚岩になることです。
創業者のカリスマ性は、存在そのものが組織の求心力となります。
つまり、トップの存在によって組織はまとまっていた、と言っても過言ではありません。
そのような存在がなくった瞬間、組織は求心力を失うことになり、空中分解する可能性が高くなります。
そして、このとき最も表面化しやすいのが、側近幹部同士の関係性の希薄さです。
これまでは建前で済んでいたものも、そうもいかなくなり、燻っていた様々な負の感情が顔を出してきます。
だからこそ、まずは自分たち幹部が一枚岩になる必要があります。
本当は言いたかったけど言ってこなかったことを明かす、今まで踏み込まなかったタブーに踏みこんでいく、これはとても勇気がいることかもしれません。
しかし、そこを通らずして組織がまとまることはありえず、これは世代交代における組織課題の本丸とも言える重大なテーマと言えます。
そして、最後の5つ目は、ミッションを再構築することです。
これまで組織の道筋は、創業者が常に照らしてくれました。
ある意味、その後をついていけばよかったわけです。
しかし、もうその存在はいない。では誰が照らすのか?その時、初めて矛先が自分たちの方に向きます。
新しい経営者も含め、側近幹部が力を合わせてらあらためて自分たちの進むべき方向性を明確にする。
自分たちは何を実現したいのか、誰のために、何ために経営をしていくのか、あらためて存在意義を問い直す、ということです。
そういったビジョン・ミッションを創り出すことが、求心力を失った組織に再び魂を宿すことに繋がります。
そしてそれは、側近幹部一人ひとりの心の奥底に眠っていた思いの復興であり、願いの結晶であるとも言えます。
最後まで読んで頂き、ありがとうこざいます。
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