セルフ・リーダーシップ 〜自分を正しく理解する〜

さて、あなたについていくつか質問します。
①あなたは何歳ですか?
②あなたの職業は何ですか?
③あなたはどこに住んでいますか?
④あなたの趣味は何ですか?
⑤あなたの得意・苦手なことは何ですか?
⑥あなたがワクワクすることは何ですか?
⑦あなたが怒るのはどんな時ですか?
⑧あなたのゆずれない信念は何ですか?
⑨あなたは何に恐れや不安を感じますか?
⑩あなたは10年後どんな自分になっていたいですか?
他の誰でもなく、全てあなた自身についての質問です。
答えられましたか?
答えられなかった人、安心してください。
恐らくこれら全てを答えられる人はほとんどいません。
特に、⑤~⑩は明言できる人は少ないと思います。
なぜなら、「自己理解」は日本の教育やしつけの中ではほぼ扱われないからです。
国語や数学、家庭科や音楽等はしっかり義務教育の中で扱われるし、
社会のルールや他者に対する礼儀は家庭や職場で指導されるのに、
一番大事な「自分自身」を学ばずに生きていくのが日本です。
よく考えると、とっても不思議ですね。
これまでの記事でもお伝えしたように、
キャリアを考える上でも、リーダーシップを発揮する上でも、コミュニケーションをとる上でも、「自己理解」が第1ステップとなります。
自己理解をしないままキャリアやリーダーシップを考えても、
ほとんど意味がありません。
自分らしくない無理をしたキャリアやリーダーシップ像を描いてしまいがちです。
ここでは、自分を正しく理解する、とはどういうことか、
そのためには何を考えるべきか、をお伝えしていきます。
自分を正しく理解する
自分を理解するために何を押さえておけばいいでしょうか。
私は下記を考えてほしいと思っています。
①自分が大事にしていること(信念、価値観)
②自分がやりたいこと。好きなこと(will、want、like、fun)
③自分が得意なこと(can)
これらは、ピシっと3つに分かれないかもしれません。
得意なこと=好きなこと、になる人も多いからです。
なので、明確に3つに分ける必要はなく、まずは考えてみてください。
例えば、
①自分が大事にしていること(信念、価値観)
→優しさ、信頼感
②自分がやりたいこと。好きなこと(will、like、want)
→チームの役に立ちたい
③自分が得意なこと(can)
→困っている人に気づくこと、柔らかい雰囲気作り
例えば私は、
①自分が大事にしていること(信念、価値観)
→個性を生かす
②自分がやりたいこと。好きなこと(will、like、want)
→誰もが生きやすい社会を作りたい、現場が好き
③自分が得意なこと(can)
→人と接すること、丁寧な作業、プレゼン
です。
こうやって文章で書いてみると、「なんとなく~」ではなく、「あ、そうだこれ大事だ!」と心にスーッと入ってくる感じがします。
そして、それが自分を形作っていきます。
言葉に表すことはとっても大切ですよ。
と、サラッと書いてみましたが、
上記3つに答えられるようになったのは、35歳くらいの時です。
これは早い方だと思います。
なので「時間がかかるものだ、ゆっくりピースを集めていこう」と焦らずに考えてみてくださいね。
このように自分を理解すると何がよいか、、
一番の効果は、
「捨てるものが明確になり、シンプルに生きられること」です。
大事なものが明確になることで、捨ててもいいものが明確になります。
これが大事です。
人は捨てられません。
特に、組織からの評価、給与額、友達、居場所、家事育児、安定、、etc
これらを捨てるのはとっても勇気がいることで、「これ全然いらないじゃーん!!」って
思えないと捨てる勇気が出ないのです。
大事なものを明確にすることで、
「一旦、この組織からの評価いらないわ」と思えると、
組織の評価ではなく本当に自分がやりたいことや拘りに専念できるのです。
そして、こんがらがってた自分がシンプルになり、生きやすくなります。
この「一旦」や「この」もポイントです。
自分が人生で1年後、5年後、10年後、30年後どうしたいかが明確になれば、
時間軸で物事が考えられて、今「一旦」捨てても10年後にやればいいやと思えるのです。
そして、自分がどこで何をしたいか、が明確になれば、
視野が広がって、「この組織」ではなく「あの組織」でとか、「あのコミュニティで」成果出せばいいや、と思えるのです。
さて、
ではどうやって自分を正しく理解することができるのか、は次回お伝えしますね。
著者プロフィール 神田朋子
- 群馬県生まれ東京都在住。
- 筑波大学大学院 数理物質科学研究科 修了。2007年、ヘルスケアに特化した経営コンサルティンググループに入社し、プロジェクトリーダーとして人事コンサルティングを担う。その後、人材開発の領域に進む。元々「権力(メジャー)を嫌い、マイノリティに寄り添い、異質を受容する」家族の中で育ち、自然とその影響を強く受けるが、会社の業績至上主義と画一的な価値観が善とされる組織文化の中、自己のアイデンティティーとの狭間で葛藤する。
- 2014年、同社を退職し、金融・航空・メーカーなど大手企業をクライアントとする人材育成会社に転職し、コンサルティング営業を担う。裏方として第一線で活躍するプロフェッショナルをアテンドし、世の中のトレンドに触れる中、自分自身が様々な偏見や常識に囚われていたことを知り、リベラルアーツ教育の重要性に目覚める。
- 2018年、結婚・出産を機に1年間の休養に入る。命がけの出産を通して子を産み育てる母という存在の偉大さを知り、これまでの仕事一筋の生き方から、子を中心に置いたライフスタイルへと大きく生き方が変わる。
- 2020年、1児の母として職場復帰すると共に株式会社ピュアテラックスに参画、コンサルタントとして表舞台に戻る。真の多様性(ダイバーシティ)の社会の実現に向け、マイノリティである女性リーダーの育成に力を入れている。
- 第一印象は強そうに見られるが(実際に気は強い)、根は気遣い屋で面倒見がいい。好きな言葉は詩人 鈴木みすゞの″みんなちがっていい、みんないい″。ヤンキー、彫り師から社長まで友達の幅は広め。蟹座A型三人姉弟の真ん中。
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