これから求められるリーダー像【後編】 タテの関係からヨコの関係へのシフト

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理性(常識・ルール)から感性(美意識)へ

前回は、これから求められるリーダー像の前編をお伝えしました。

今日は後編をお伝えします。

前編では、

・これから求められるリーダー像は今までとは違う

・①自分軸、②成熟(器の拡大)、③感性、④ヨコの関係(対話)がキーワード

・①自分軸になると人生が楽になり周囲との関係性も変わる

・②成熟(器の拡大)は自分を開示し、人を頼り、人を活かし、成熟した人

とお伝えしました。

では、③感性、④ヨコの関係(対話)はどういうことでしょうか。

感性があるリーダーは、

「これはルールだからしょうがない」

「これが世の中の常識」

と考えるのではなく、

「このルール、変かも?」

「この常識って本当にご利用者のためなのかな?」

と一旦立ち止まって考えることができます。

そして、相手の感情に寄り添い、共感することができます。

例えば、こんなことないですか?

・職場では自身の気持ちや思いは極力出さないようにしている

・感情を出した人に、子供っぽいと思って終わらせている(背景や理由を聞いていない)

・相手の話す言葉を集中して聞いている(相手の表情や背景は気にしていない)

・相手に何かを伝える時、自分のことは話さないようにしている

これだと表面的な人間関係になり、

本当の課題は掴みにくく、問題が解決しません。

相手が感情を出した時、それはチャンスです。

感情を出すということは、その裏に「想い」があります。

怒っている人は「大切な価値観を踏みにじられた」と思っているし、

泣いている人は「わかってほしい想い」があります。

なぜ怒っているのか、なぜ泣いているのか、をきちんと聞き、

感情を把握することで、

「聞いてくれて嬉しい!」

「わかってくれてありがとう!」

となり、

関係性も構築され、問題解決もしやすくなります。

怒っている人に

「怒らないでください。あなたも悪いところがあったでしょ。本当はこうすべきでしたよね」と正論で話しても、

心はシャットダウンされ、本当の問題がわからずに、表面的な解決になる可能性が高いです。

ぜひ、相手の感情を扱えるようにしましょう。

そして、自分の感情も扱えるようにしましょう。

感じていることを伝える、

思っていることを伝える、

それも大切なことです。

言葉に想いを乗せることで、相手に共感を与え、相手を動かしやすくなります。

これは実は女性が得意と言われていて、

コロナ対策では多くの女性リーダーが評価をされました。

ジャシンダ・アーダーンさん(ニュージーランド首相)

アンゲラ・メルケルさん(ドイツ首相)

はよくテレビでも取り上げられていましたね。

理性も持ちながら、ぜひ感性を大切にすることを意識してみてください。

タテの関係(説得)からヨコ(対話)の関係へ

タテの関係は、日本人の文化と言えるくらい強烈に根付いていますね。

上司、先輩、目上の人は絶対。という考え方です。

尊敬することはもちろん大切ですが、

上司だからといって「完璧」かというそうではありません。

間違った考えや判断はたくさんあります。

上司の意見に対して反論できることが大切で、

上司はその雰囲気を作ることが求められます。

このタテの関係は、古くから日本にある「儒教の考え」が元にあります。

韓国も儒教社会ですね。

日本と傾向が良く似ています。

この考え方は、

特に男性にはまりました。

男性社会といえば、ピラミッド社会で、権威と肩書きが重要視されます。

一方女性はそれに違和感を持ちやすいです。

タテの関係ではなく、一個人としての存在やコミュニケーション(ヨコの関係)が大切だからです。

そして、最近は若い人もタテの関係に違和感や拒否感を抱きやすいですね。

これから求められるのは間違いなくヨコの関係です。

相手を肩書きや年齢で見るのではなく、

一個人として見ることです。

ダイバーシティの考え方にも通じますね。

「みんな違って、みんないい」

性別も年齢も生まれも価値観も違ってよくて、序列はつけない。

そしてこのヨコの関係を作るために

大切なコミュニケーション方法が「対話」です。

上から押し付ける「説得」ではなく、

お互いがきちんと想いや意見を言い合える「対話」なのです。

「対話」は、

相手の想いを聞き(傾聴力)、受け止めて(承認力)、必要に応じてフィードバックすることです。

コーチングの基本スキルでもあります。

皆さんは対話できていますか?

きっと傾聴力はあると思います。

承認力もあると思います。

ただ、フィードバックは苦手な人が多いかもしれませんね。

フィードバックについては、またどこかで触れたいと思います。

さて、これから求められるリーダー像、少しイメージできましたか?

①自分軸

②成熟(器の拡大)

③感性(美意識)

④ヨコの関係(対話)

は決してあなたと遠いものではないと思います。

上記をより意識してみてください。

きっと、自分のリーダーの素質に気づくはずです。

著者プロフィール 神田朋子

  • 群馬県生まれ東京都在住。
  • 筑波大学大学院 数理物質科学研究科 修了。2007年、ヘルスケアに特化した経営コンサルティンググループに入社し、プロジェクトリーダーとして人事コンサルティングを担う。その後、人材開発の領域に進む。元々「権力(メジャー)を嫌い、マイノリティに寄り添い、異質を受容する」家族の中で育ち、自然とその影響を強く受けるが、会社の業績至上主義と画一的な価値観が善とされる組織文化の中、自己のアイデンティティーとの狭間で葛藤する。
  • 2014年、同社を退職し、金融・航空・メーカーなど大手企業をクライアントとする人材育成会社に転職し、コンサルティング営業を担う。裏方として第一線で活躍するプロフェッショナルをアテンドし、世の中のトレンドに触れる中、自分自身が様々な偏見や常識に囚われていたことを知り、リベラルアーツ教育の重要性に目覚める。
  • 2018年、結婚・出産を機に1年間の休養に入る。命がけの出産を通して子を産み育てる母という存在の偉大さを知り、これまでの仕事一筋の生き方から、子を中心に置いたライフスタイルへと大きく生き方が変わる。
  • 2020年、1児の母として職場復帰すると共に株式会社ピュアテラックスに参画、コンサルタントとして表舞台に戻る。真の多様性(ダイバーシティ)の社会の実現に向け、マイノリティである女性リーダーの育成に力を入れている。
  • 第一印象は強そうに見られるが(実際に気は強い)、根は気遣い屋で面倒見がいい。好きな言葉は詩人 鈴木みすゞの″みんなちがっていい、みんないい″。ヤンキー、彫り師から社長まで友達の幅は広め。蟹座A型三人姉弟の真ん中。
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